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2022/07/09テーマ:インタビュー,コラム~身元引受人/後見人/終活~

遺言と死後事務の違い ~行政では出来ない社会問題~

エレガリオ神戸は神戸市中央区海岸通に位置する介護付き有料老人ホームです。近隣には大丸神戸店や元町商店街、ハーバーランドなどがあり、都市型生活を楽しみたいシニアの方にはうってつけの住環境の中、手厚い介護体制やこだわりの食事で安心のシニアライフをサポートします。

この度、エレガリオ神戸では一般社団法人こうべつながり 生駒様に遺言書と死後事務委任契約についてお話をお伺いいたしました。こちらのブログでご紹介いたします。

~家族の形/おひとりさまの増加~
2020年国勢調査によると、最も多いのは夫婦と子ども2人、いわゆる昭和の「標準世帯」・「核家族」と言われる世帯ではなく一人暮らし世帯です。
さらに今後は、高齢夫婦のみの世帯もやがて夫婦のどちらかが亡くなれば、一人暮らし世帯に変わります。

家族であっても世帯は別、というケースもあります。例えば、親が関西在住で子どもは関東で一人暮らしの場合など、親と子どもの距離も遠くなっているのです。
また、未婚・離婚の増加に伴い2040年には人口の半分が独身になるとも言われています。
つまり、おひとりさまで身寄りがいない方が一層増えるということです。

~おひとりさまにとっても欠かせない家族の役割/死後事務~
おひとりさまが増加する社会になっても「家族の役割は欠かせない」という現実、そして社会問題が残ります。
その社会問題とは何か?
そのひとつが「死後の手続き」です。

どんなに終活をしても人は、自分で自分をあの世へ送ること・自分の死後を片付けることは出来ません。
一般的には子どもなど遺族がすることになります。
みなさんも両親を見送った時に経験がおありかと思います。

そして死後の手続きは50~60項目ほどあると言われています。
葬儀・納骨や家財処分、年金停止だけでなく、他にも行政への届け出や返還、各種停止や解約、郵便物の処理、などなど。
これら死後の手続きを“死後事務”と呼びます。
そして死後事務の最大の特徴は、手続きのほとんどは遺族や相続人から申請をしなければならないことです。
最近では、役所も遺族向けにお悔やみコーナーなど窓口を設置し、手続きの説明や案内を実施しています。

例えば、遺族宛てに役所から通知が届くことはありますが、連絡はありません。
あるいは相続の手続きをして下さいといった銀行からの通知や連絡はありません。

ここで問題が発生します。
子どもがいない方や兄弟など親族が先に亡くなっている方、あるいは甥姪も含めた親族と疎遠な方、そもそも一人っ子で独身の方などおひとりさまにとっては、自分の死後を後始末してくれる人、死後事務を託す人がいないという問題です。

身寄りがいない・相続人がいないからと言って行政は行ってくれません。
なぜなら民法を含めて法律は家族がいる前提で作られているからです。

ゆえに、おひとりさまは誰かに頼んでおかないといけない現実があります。
そして、これらは親友や親切な友人には頼みづらいものです。
親友や友人の多くは同年代でしょうから、その方が先に亡くなる可能性もあります
ゆえに、おひとりさまは契約をもって第三者に死後事務を託す必要があるのです。
これを死後事務委任契約と言います。

~死後事務委任契約とは?~
あなた(委任者)が受任者(個人でも法人でも可)に、自分の葬儀や火葬・納骨を含む死後事務や生前にかかった費用の精算など、あなたの死後に起こる事務について代理権を与えて受任者に委託する委任契約です。

~死後事務で重要なこと~
受任者に、あなたの考えやお願いする内容などを伝えなければ受任者は分かりません。
そこで必要な準備が、自分の現状把握です。
つまり、エンディングノートを書いておくことです。

~死後事務委任契約と遺言書の違い~
死後事務委任契約は、財産の事以外の手続きを託す契約です。
例えば、「遺産の一部を○○に寄付してほしい。」「金を△△に渡してほしい。」
このような財産に関することは叶えられません。遺産の分配に関しては遺言書が必要です。
遺言書は自分の死後に残った財産をどのように分与するのかを指定して託す書面です。

よって、財産分与について法定相続通りではない希望がある場合は、死後事務委任契約に加えて遺言書も必要となります。

では、遺言書にまとめて死後事務もお願いすれば良いのではないかと疑問が沸きます。
しかし、遺言書で死後事務を託すことは不可能です。
なぜなら遺言書は死後に開示されます。
つまり、葬儀や納骨の希望を遺言書に記しても遅いのです。
また、遺言書に記すのは可能ですが法的拘束力はありません。
遺言書でお願いした人物あるいは遺言執行者が、死後事務に関するあなたの希望を実施・執行しなくても罰則はないのです。
ゆえにおひとりさまで財産分与の希望がある方は、死後事務委任契約と遺言書両方の契約及び作成をお勧めします。

~相続人がいないと財産は国庫へ還る?~
「相続人がいないと財産は国庫へ還る」とよく言われますが、その通りです。ただし、自動的に還るわけではありません。
つまり誰かが国庫へ還る手続きをしなければなりません。
具体的には、誰かが裁判所に相続財産管理人を申し立てる必要があります。
すると裁判所が司法書士や弁護士を選任し国庫へ帰属させる命令を下します。
そして選任された相続財産管理人が死亡者の預貯金を引き出したり、不動産を売却したりなど相続や遺言執行同様の仕事をして国庫へ還します。

地域によって異なりますが、相続財産管理人への報酬は当然かかります。
報酬は死亡者の遺産から支出されます。平均的には50万円ほどと言われています。
つまり、相続人がいない方は財産分与に関して希望がなく国庫への帰属が希望であっても遺言書の作成は必須といえる状況なのです。

因みに、遺言書もなく相続人がいない方が亡くなった時はどうなるのか?
市町村が対応します。しかし本人の財産が報酬である50万円も支払えない遺産額の場合、市町村によって対応は異なりますが、不足分に税金を投入しなければならないので処理しないケースもあるようです。
これら処理しない・出来ないお金が億単位と言われています。

~行政が出来ない現実/空き家問題~
上記の他にも行政が出来ないケースを紹介します。
都市部を中心に社会問題となっている孤独死です。
孤独死で引き取り手のない遺体・遺骨、いわゆる無縁仏。
この遺体・死者は行旅死亡人(こうりょしぼうにん)と呼ばれ、行旅病人及行旅死亡人取扱法律に基づき、市町村が火葬し遺骨を保管して引き取り手を待つことになります。
費用は遺留品の現金などが充てられ、足りなければ公費で立て替えます。
立て替えるということは、相続人が判明した場合、市町村は相続人に請求するわけです。
しかし、そもそもこういうケースで、相続人が精算したり遺体を引き取ったりする可能性は低いのが現実です。

それだけではなく相続がなされない状況が悪化すると、その結果空き家問題に繋がっていきます。
行政が火葬まではしても、相続は出来ません。空き家である不動産が残る、2次3次相続となり収拾がつかなくなり空き家が朽ちていく。
この件について行政が出来ない理由。
それは、家族がいる前提で作られている法律が要因のひとつです。

だからこそ、大家さんからすれば賃貸住宅を貸す時に求める身元保証人・連帯保証人を、
ますます強く求める傾向の要因でもあると私は考えます。

総じて、おひとりさまだけでなく誰しもが自分の死後を託す人が必要であること。
それが今までのように家族だけがするべきことではなく時代背景や家族の形の変化により第三者が担う時代になってきたと言えます。

~自治体も取り組み始めた終活~
身寄りのいない人が増えている背景を踏まえて、終活支援を行う自治体が増えています。
一例として市内在住の一人暮らしを対象者として、自身の葬儀や納骨などに関して事業者と生前契約を締結し、その事業者への死亡通知人として自治体が受任する。
こんな取り組みがあります。これは自治体にもメリットがあるのです。
通常、引き取り手のない遺体は公費で火葬されます。
これを自治体が生前契約をサポートすることにより、本人が火葬や納骨の費用を負担することになる。これがメリットです。

~国の施策の根底~
今回申し上げた死後事務委任契約や遺言書の作成が増えることにより、自分の死後を託す人が確保されます。
そしてもうひとつ、家族役割である身元保証人を確保すること。
これらにより、国の施策である「地域包括ケアシステム」やSDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」の一番根っこで必要なことだと考えています。

最後までご高覧いただき、ありがとうございました。

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【エレガリオ神戸のご案内】
エレガリオ神戸は神戸市中央区海岸通に立地。近隣には元町商店街、ハーバーランドがあり、お散歩気分で気軽にショッピングやお食事に出かけられアクティブな生活が楽しめる介護付き有料老人ホームです。是非、ご見学だけでもお越しくださいませ♪

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フリーダイヤル:0120-82-7700
ホームページ:https://elegario.com


【一般社団法人こうべつながりのご案内】

~活動目的~
一生涯関係を持ち続ける家族のように、人生の伴走者となってつながりを求めるすべての人の意思を尊重し、安心して暮らせる社会を実現すること

~活動内容~
私たちは上記目的を達成するために下記の事業を行っています。

【つながり会員制度】もしもの時の安心サポート
~5大支援で一生涯の安心を届けます~

① 身元保証~入院や施設入居時など/医療同意含む~
② 生活支援~家族の立場で24時間対応~
③ 死後事務~あの世への引越し準備~
④ 葬送支援~葬儀・納骨の執行人~
⑤ 顧問支援~弁護士・税理士による成年後見、遺言等~

~終活、エンディングノートの普及活動~
①終活全般やエンディングノートの書き方
②成年後見制度や遺言等をテーマにしたセミナー講師派遣

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TEL:078-335-5172
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一般社団法人こうべつながり 代表理事生駒 貴徳(イコマ タカノリ)

昭和44年11月生まれの52歳。さそり座。O型。
2016年に一般社団法人こうべつながりを設立。今までに200名を超えるエンディングノート作成に携わり、終活セミナー講師も数多く務める。