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2023/03/06テーマ:コラム~身元引受人/後見人/終活~

任意後見契約だけでは不十分~一人暮らしが必要な他の契約~

エレガリオ神戸は神戸市中央区海岸通に位置する介護付き有料老人ホームです。近隣には大丸神戸店や元町商店街、ハーバーランドなどがあり、都市型生活を楽しみたいシニアの方にはうってつけの住環境の中、手厚い介護体制やこだわりの食事で安心のシニアライフをサポートします。

この度、エレガリオ神戸では一般社団法人こうべつながり 生駒様に「任意後見契約だけでは不十分~一人暮らしが必要な他の契約~」についてお話をお伺いいたしました。こちらのブログでご紹介いたします。

成年後見制度とは?

認知症などが理由で判断能力の不十分な方が、不利益を被らないように
家庭裁判所に申し立てをして、その方の支援をしてくれる人を付けてもらう制度です。

後見人の役割は?
判断能力が不十分になり、契約事や財産管理をすることが難しい方の代理人となります。
その方が自分らしく安心して暮らせるように本人の権利を守り、意思を尊重しながら
生活を支援するのが役割です。

制度の経緯・背景

現在では差別的視点を理由のひとつとして廃止されている、「禁治産者制度」が基になっています。
禁治産者とは、財産を治めることを禁じられた者という意味です。
この言葉の悪い印象に加え、本人や財産の保護ばかりに重点がおかれ、本人の意思の尊重や
身上への配慮などは重視されていないことが問題でした。
本人から全ての権利を奪ってしまわないよう、自己決定権の尊重や現有能力の活用に
重点を置いた現在の成年後見制度として、2000年4月に介護保険制度と一緒に施行されました。

2種類ある成年後見制度

今回は終活・準備という観点から、任意後見契約についてお伝えします。

任意後見契約とは?

あなたに十分な判断能力があるうちに、判断能力が低下した時に備えて、
あらかじめ自らが選んだ代理人(=任意後見予定人)に財産管理や身上監護などの
代理権を与える契約を、公正証書で締結する契約です。
平たく言えば、「私が将来認知症になったら、あなたが私の財産と生活を守ってね。その時の報酬は毎月○○円ね。」とお願いをしておく契約です。

契約後の仕組み

あなたの判断能力が低下した時に、契約相手である任意後見予定人や、四親等以内の親族が
家庭裁判所に請求を行います。
すると、裁判所はあなたが選んだ任意後見人を監督する“任意後見監督人”を選任します。
ここから任意後見契約の効力が発生し、財産管理などの後見業務が始まります。

任意後見監督人が就くのは、事件事故を防ぐためでもあります。
あなたと任意後見人の間だけの約束である契約内容を、
監督人を付けてオープンにしようというのも目的のひとつです。

また、契約で決めた報酬もこの時点から発生します。
つまり、それまでは契約をしておいても報酬は発生しません。
尚、任意後見監督人も報酬は必要です。これは家庭裁判所が決定します。

任意後見契約のメリット・デメリット

任意後見契約にもメリット・デメリットがあります。

まずは、あなたにとってのメリットは?
1) あなたが任意後見人を自由に決められる。
2) 将来、何をしてほしいのかという内容や、後見予定人に与える権限の範囲を決められる。
3) 家庭裁判所で任意後見監督人が選出され、任意後見人の仕事ぶりをチェックしてくれる(効力がスタートした時)。

一方、デメリットは?
① 法定後見制度のような取消権がない。
② あなたが亡くなった時点で契約は終了する。
③ 任意後見(予定)人及び任意後見監督人は、身元保証人にならない。

メリット・デメリットの他に、以下のような疑問が沸きます。
㋐自分の判断能力が低下したことを、任意後見予定人はどうやって知る?
㋑死後の事も任意後見契約でしてくれる?
㋒判断能力が低下せずに最期を迎えたらこの契約はどうなる?

それぞれ、順に答えていきます。

㋐自分の判断能力が低下したことを、任意後見予定人はどうやって知る?
任意後見契約を結んでも、あなたの判断能力は衰えていませんので普段通りの
生活をしています。一方、任意後見予定人は効力が発生するまでは契約をしただけの状態で、
あなたに対しての権限はありません。予定人が家族や友人ならお付き合いも
あるでしょうから、あなたの変化に気付きやすいと考えられます。

しかし、予定人が司法書士や弁護士など第三者の場合は、あなたの状況が分かりません。
そこで、士業などが予定人の場合は、定期的にあなたの状況を確認する必要が出てきます。
それが、“見守り契約”です。
見守り契約では、予定人があなたと定期的に連絡をとり状況を確認します。予定人が任意後見契約をスタートさせる時期を的確に捉え、見逃さないことが目的の契約です。
もちろん、一般的にはこの見守り契約にも、別途費用が必要です。

㋑死後の事も任意後見契約でしてくれる?
残念ながら、任意後見契約はあなたが亡くなった時点で終了します。
ここで疑問なのは、「その後の葬儀は?納骨は?家財処分は?様々な死後の手続きは?」といったこと。死後事務は、50~60項目あると言われています。それを誰がしてくれるのでしょう?

死後の事に悩まないためにも、任意後見予定人に対し任意後見契約とセットで
「死後事務委任契約」を締結しておくことをお勧めします。
この死後事務委任契約にも、一般的には別途費用が必要です。
尚、遺産分割など財産に関することはこの死後事務委任契約でもできません。遺言が必要です。

㋒判断能力が低下せずに最期を迎えたらこの契約はどうなる?
全ての人が認知症になって亡くなるわけではないので、可能性は十分にあります。
判断能力が低下せずに最期を迎えた場合、契約は効力を発生させないまま終了となります。
つまり、公正証書で作成した費用は無駄になるわけです。
しかし、そもそも任意後見契約は将来に備えた契約。すなわち、保険のようなものです。
契約した効力を使わずに最期を迎えられたということは、最期まで自分らしい暮らしを
自分の意思で続けられたと言えるでしょう。

以上から、
特に一人暮らしシニアにとっては、任意後見契約だけでなく
見守り契約や死後事務委任契約などが必要です。
これは前回のコラムでも、シニアに必要な5つの契約としてお伝えしました。

任意後見契約を検討する前に

事前に必要な準備は、あなたの現状をあなた自身が把握することです。
任意後見予定人と打ち合わせをするにしても、代理権の範囲を決めるためには
財産種別や現状生活における支払い先、もし施設に入る状況になった時の自身の考えなど、
あなた自身が把握しそれを伝えなければ、任意後見予定人は分かりません。
つまり、エンディングノートを書いておくことが重要です。

エンディングノートが終活の全ての始まりです。

最後までご高覧いただき、ありがとうございました。

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~活動目的~
一生涯関係を持ち続ける家族のように、人生の伴走者となってつながりを求めるすべての人の意思を尊重し、安心して暮らせる社会を実現すること

~活動内容~
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~5大支援で一生涯の安心を届けます~

① 身元保証~入院や施設入居時など/医療同意含む~
② 生活支援~家族の立場で24時間対応~
③ 死後事務~あの世への引越し準備~
④ 葬送支援~葬儀・納骨の執行人~
⑤ 顧問支援~弁護士・税理士による成年後見、遺言等~

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②成年後見制度や遺言等をテーマにしたセミナー講師派遣

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生駒 貴徳(イコマ タカノリ)

昭和44年11月生まれの52歳。さそり座。O型。
2016年に一般社団法人こうべつながりを設立。今までに200名を超えるエンディングノート作成に携わり、終活セミナー講師も数多く務める。